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八ッ場ダム、ユキダルマ式にふくれた「もったいない」の嘘

公共事業チェック議員の会では、八ッ場ダムなどの大型公共事業が中止された場合に、「ダム建設予定地に居住する住民の生活再建・地域振興」に寄与する法案作成の実務作業を手がけていた。「中止するなんてダムに振り回された住民はどうなるのか」ということは、当然ながら考えてきたことなのだ。ところが、国土交通省には「ダム建設と引き換えの補償」というスキームしかない。ダム建設を受け入れれば金は出すが、反対して作らせないならビタ一文やらないよという高圧的な態度を河川局のダム役人に取らせてきたのは、歴代の自民党政権なのだということを忘れないでおきたい。

しかし、このダムは最初の計画から57年も経っているのだ。水需要(利水)や防災(治水)の環境が変わって、国が「ダム建設の必要は薄れ、工事途中であっても中止をすることになった」という判断はありえるのだ。その時に必要になるのが「生活再建・地域振興」に国が予算をつけるという仕組みだ。しかし、歴代自民党政府は、「ダム中止」後の住民支援スキームをつくることを回避してきた。大型公共事業が止まってしまっては困るからである。今回の八ッ場ダム中心問題も、住民支援のための生活再建・地域振興をセットで考えなければならない。

石原慎太郎東京都知事は、「異常気象が深刻化しており、日本だったいつ干ばつにさらされるかわからない」と述べているが、まるで八ッ場ダムが止まると東京の水需要に影響を与えるかのような言い方である。利根川水系にはすでに11のダムがあり、これらのダムの夏の利水容量は4億3329㎥だ。渇水が心配される夏に、八ッ場ダムは洪水調節のために水位を下げるので利水容量は2500㎥が加わるに過ぎなくて、わずか5%増えるだけである。

八ッ場ダム問題で深刻な影響を受けたのは、間違いなく水没地区の住民をはじめとした周辺の地域の人たちである。しかし、そもそもこのダムが必要だと計画を立案したのは半世紀前の旧建設省の役人たちである。「強酸性の水など首都圏の水ガメには無理があります」という声があがれば、「それなら石灰を入れて中和してしまえ」という発想で、すでに中和作業は45年にわたっている。

 時のアセスという言葉がある。57年も経過して、国土交通省が自民党政権で「動き出したら止まらない公共事業」の論理で走り続けたのだから、必要があってもなくてもダムをつくろうというのはおかしい。つくる必要があればつくるし、必要がなければやめる、ここは冷静な判断が必要だ。

ダムにも寿命がある。日本には、ダムをつくる技術はあっても、土砂やヘドロで埋まったダムを解体し、自然の川に戻す技術はない。百年先を見通せば、治水対策でもはるかに有効な河川の浚渫や護岸工事などをコツコツと積み重ねた方がはるかに安くすみ、税金も有効に活用される。
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